生命保険の数は何社ある?

規制緩和・自由化により揺れ動く生保業界

生命保険会社は、生命保険業を営むことを目的に、保険業法に基づいて設立した会社のことである。免許制で十億円以上の資本金を要するなど、容易につくれるものではないが、二○ ○五年二月一日現在の生命保険会社数は三九社となっている。二〇〇〇年のピーク時(四七社)に比べて八社減ったものの、四〇社近い生保がしのぎを削っている。戦後、日本の生命保険会社は二〇社で始まっだのだから、二倍近く増えたことになる。

戦後の生命保険業界は一九七〇年代前半まで大きな変化がなかったが、その後、アリコジャパン、アメリカンファミリーなどの外資系生保が参入。高度経済成長による急速な経済発展を背景に、膨大な若年中間層の出現、死亡率の急速な低下、護送船団方式※1 による監督体制などにより、日本は世界最大規模の生保大国にまで発展する。

生保業界の環境が一変したのは、一九九〇年代のバブル崩壊以降である。最初に現れた変化は、一九九六年四月に施行された保険業法改正だ。金融ビッグバンの先駆けともいえる規制緩和で、生・損保の子会社による相互参入が可能になった。これにより、損保系生保(損保会社を親会社にもつ生命保険会社)が十二社誕生した。

一方、その翌年から、不動産・株価等の下落による不良債権問題12 、超低金利政策による逆ザヤ問題などによる経営不振で、破たんする生保が現れることになる。一九九七年の日産生命(現・プルデンシャル生命)を皮切りに、東邦生命(現・A-G エジソン生命)、第百生命(現・マニュライフ生命)、平和生命(現・マスミューチュアル生命)、協栄生命(現・ジブラルタ生命)、千代田生命(現・A-G スター生命)、大正生命(現・大和生命)、東京生命(T&D フィナンシャル生命)の計八社が破たんした。

破たんまではいたらなかったが、吸収合併14 または買収された生保は六社に及ぶ。二コス生命はクレディースイス生命に、日本団体生命はアクサクループライフ生命(二〇〇五年十月一日付けでアクサ生命に吸収合併される予定)、オリコ生命はピーシーエー生命、セソン生命はA-G エジソン生命、同和生命は日本生命、スカンディア生命は東京海上日動フィナンシャル生命に改称している。また、二〇〇四年一月には、大手生保の明治生命と安田生命が合併し、「明治安田生命」が誕生している。太陽生命と大同生命はともに相互会社から株式会社への転換をはかり、二〇〇四年四月に保険持ち株会社の「T&D ホールデマンクス」を設立。事業の効率化を図っている。

相互会社と株式会社の違いとは

会社の形態としては「株式会社」が一般的であるが、保険会社の場合は、「相互会社」という組織をとってよい旨が保険業法に明記されている。最近では、大同生命、太陽生命、三井生命、大和生命が相互会社から株式会社に組織変更しているが、相互会社と株式会社はとこが違うのだろうか。

相互会社とは、保険事業だけに認められている経営形態のことだ。保険業を行なうことを目的として、保険業法に基づき設立される社団である。構成員は保険契約者である社員で、相互に保険を引き受け合うスタイルになっている。

株式会社と違って営利を目的としない中間法人で、意思決定機関は、社員(契約者)から選出された者による社員総会または社員総代会となっている。一方、株式会社にとっての契約者は、契約関係だけで会社の運営にはノータッチ。株主が出資する資本(自己資本)をもとに運営し、株主の出席による「株主総会」によって、役員選出などの重要事項が決定する。

相互会社も株式会社も、契約した保険の配当タイプなどに応じて、利益の一部を配当金として契約者に還元するしくみになっているし、保険契約そのものに影響する違いはない。しかし、株式会社化をしたほうが市場からの資金調達が容易となり、合併やM&A がスムーズに行なえるメリットがある。デメリットとしては、相互会社から株式会社へ移行するにあたり、契約者に対する株式の割り当て手続きの時間とコストが膨大にかかることが挙げられる。大手生保で株式会社化を実現させたのは三井生命のみというのは、この点が大きいのだろう。