保険会社の「予定利率 」 って何?

予定利率の高い保険が「お宝保険」と呼ばれている理由とは

生命保険会社は、契約者が払い込んだ保険料の中から将来の保険金や解約返戻金などの支払いに備えて、その一部を純保険料として積み立てて運用する。この運用収益をあらかじめ見積もっておいて、その分だけ保険料を安くしておこうというのが「予定利率」である。

予定利率が高くなれば保険料は安くなり、低くなれば保険料は高くなるしくみだ。

契約時に決まった予定利率は原則として保険期間中変わらないが、いつ保険に入ったかによって予定利率は大きく違う。過去最も予定利率が高かっだのは、一九八五年四月から一九九〇年三月末までに販売されていた保険期間十年以下の保険契約で、六・二五八- セントである。この時代の保険はすでにすべて満期を迎えているので、過去の保険となってしまったが、現存しているものの中でも六・〇八- セントのものがある。同時期に販売された保険期間十年超二〇年以下のものだ。現在(二〇〇五年五月一日)の平均予定利率は∇ 五八- セントであるから、四・五八- セントの差があることになる。

予定利率が影響するのは純保険料だけなので、この差がダイレクトに営業保険料(契約者が保険会社に払い込む保険料)に反映されるわけではないが、保険期間が長ければ、予定利率のわずかの差で保険料は大きく違ってくる。保険期間三〇年の養老保険(満期保険金百万円、有配当)に三〇歳男性で加入した場合の年払保険料 のようになる。

同じ年齢で加入したというのに、二〇〇一年と一九九〇年では一万一八三八円の保険料格差がみられた。これは一九九〇年の保険料の六〇パーセントに相当する金額である。満期まで生きていれば死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる養老保険の場合、保険料が安い= 貯蓄性が高まることになる。予定利率が高い保険のことを「お宝保険」と呼んでいるのは、こういった理由からなのである。

破たん前の予定利率引き下げが可能になった保険業法改正って何?

予定利率は保険期間中変わらないものであるが、逆ザヤ※1で財務が悪化していて放置すると破たんしかねない保険会社に限って、予定利率を引き下げられるようになっている。これは二〇〇三年七月十八日の国会で可決し、同年八月二四日に施行された保険業法改正によるものだ。この改正によって、契約者の保険はどうなるのだろうか。ポイントは次に挙げる三項目である。

①予定利率の引き下げは、契約条件の変更を行なわなければ保険業の継続が困難となる可能性が高い保険会社のみ適用される。適用を受ける際は、「変更の理由≒ 変更後の業務・財産状況の予測」などを明記した書類を契約者等に送付しなければならない(← 全社一斉引き下げの可能性は低い)

② 責任準備金はI 〇〇八- セント保証(← 破たんした場合は九〇八- セントまでの保護となる)

③引き下げられる予定利率は、政令で定める率(現状三八- セント)を下回ってはいけない予定利率の引き下げは、契約条件変更の申請をした生保に、原則として一九九六年三月までに契約した保険に限って影響を受けるものである。同年四月以降に加入した保険の大半は予定利率が三八- セント以下であるので、たとえ保険会社が申請したとしても何の影響もない。

一九九六年三月までに契約した保険の予定利率引き下げによる保険金の減り方は、図3のとおりである。影響は決して少ないものではないが、過去の破たん例と比べると軽微になっている。予定利率引き下げは許しがたい行為であるが、保険会社は誠意ある対応を、契約者は大人の対応を望みたい。