クーリング・オフで契約を解除できる?

保険料を払い込んだ後でも契約を取り消せる制度

生命保険には、いったん申し込んだ後であっても一定の期間内に手続きをとれば「申し込みの撤回」や「契約の解除」ができる「クーリングーオフ制度」がある。これは、訪問販売や通信販売などで契約する商品に設けられた制度(保険業法三〇九条)で、生命保険の場合、第一回目の保険料を払い込んだ日(第一回保険料充当金領収書の交付日)か、申込書を提出した日(申込日)のうちいずれか遅い日を含めて八日以内であれば契約を撤回できる。このとき、撤回の理由を問われることはなく、すでに払い込んだ保険料は後日返金されるようになっている。

手続きは、生命保険会社の支社または本社あてにハガキまたは封書で行なう。電話や営業職員に直接会って契約解除の意向を伝えてもクーリングーオフの適用にはならない。申し出は郵便局の消印で判定されるので、送付した日付を証拠として残すことが重要となる。八力キは簡易書留で、封書は内容証明で送ろう。書面に、契約者の住所と氏名、被保険者の氏名、領収書番号、取扱営業職員の氏名、日付、申し込みを撤回する旨を記入し、捺印する。必ず契約者本人が書き、申込書に捺印した印鑑を使用することも忘れずに。

そもそもクーリングーオフは、消費者が対等な立場にはないような状況で契約した場合に、「頭を冷やしてよく考え直す期間」として設けられたものである。したがって、営業員が突然自宅や勤務先に訪ねてくる訪問販売スタイルであれば消費者にとって不意打ち的性格があるので対象となるが、申し込み時から意思がはっきりしている契約、保護の必要性の薄い契約、法人契約など次に挙げるような場合はこの制度の対象外となるので覚えておこう。

  • ① 八日を経過した場合
  • ② 保険会社の指定した医師の診査を受けた後
  • ③ 保険期間が一年以内の契約
  • ④ 法人が契約者である場合、または事業のための契約である場合
  • ⑤ 債務履行の担保のための契約である場合
  • ⑥ 既契約の増額、変更の場合
  • ⑦ 保険会社あるいは保険代理店事務所などで申し込んだ契約

クーリングーオフ制度以外の保険契約者を守る法律

二〇〇一年四月一日に、消費者保護を目的とした「金融商品の販売等に関する法律(以下、金融商品販売法)」と「消費者契約法」が施行された。この二つの法律は保険に限ったものではないが、説明義務を中心とした保険募集や保険締結にかかわる内容になっている。

【金融商品販売法】

金融商品販売業者が説明しなければならない事項を明確にし(図3) 、説明義務違反に対する損害賠償責任を定め、金融商品を販売する人の勧誘が適正に行なわれることを確保するなどを定めた法律である。損害賠償額は「元本欠損額」とされ、払い込んだ金額よりも受け取った金額が少ない場合の差額を意味する。この法律は、保険を含むほとんどの金融商品が対象になっているが、郵便貯金、簡易保険、商品先物取引、ゴルフ会員権などは対象外である。説明義務を負う金融商品販売業者には、販売先の金融機関だけでなく、媒介・代理を行なう者も含まれる。つまり保険であれば、保険会社の営業職員だけでなく、銀行などの他の金融機関の生命保険募集人や代理店、保険ブローカーも対象になる。

ただし、保護の対象となる顧客は個人、ならびにプロを除く事業者である。顧客が金融商品販売等に関するプロの場合や、顧客が重要事項の説明を必要としない旨の意思表明をした場合は、この法律の対象にならない。つまり、この法律による損害賠償請求はできないので注意しよう。

【消費者契約法】

消費者と事業者の間で結ぶすべての契約(労働契約を除く)を対象にした法律である。事業者が、「不実告知(重要事項において事実と異なる説明をした)≒ 断定的判断の提供(不確実なことなのに、あたかも確定していることのように説明をした)≒ 不利益事実の故意の不告知(消費者が不利益になることを黙っていた)≒ 不退去(契約をもらうまで帰ろうとしない)≒ 監禁」という不適切な行為を行なったことにより、消費者が自由な意思決定が妨げられたことによって契約した場合には、誤認したことを気づいたとき、または困惑を脱したときから六ヵ月以内で、かつ契約から五年以内であれば、契約を取り消すことができることになっている。また、契約書に消費者の利益を一方的に害する条項などが入っている場合には、その条項の全部または一部が無効になる。